ナタリさん

少年時代、もしかすればふうが私を見出すよりも前、微睡の最中「いつかこんな風にまったり暮らしたいねぇ」と言うのんびりした声が聞こえ、夕焼けの中に佇む人影のビジョンをみた。今思えばきっとたまたま意識がすれ違っただけで、その言葉は私に対しての物ではなかったのだろう。しかしその声はずっと私の耳に残り続けていて、私は時折、あの声の主に想いを馳せていた。

 

なんてノスタルジーな思い出で終わるかと思ったらひょんなところで再会した。

 

同じく天地創造で創った、リラクゼーションスペースと繋げた温泉世界に入り浸ってくつろいでいた。確かに、セキュリティはあるものの誰でも訪れられる作りにしていたとはいえ…。しかもいつの間にか私よりもずっと温泉世界に詳しくなっていたため、案内と給仕をお願いしたら快く引き受けてくれた。

 

存在としては世界間移動ができる以外は特筆するところはない、キツネ目でいつもニコニコ顔のただのフランクなお姉さんなのだが、何故かさん付けで呼んでしまう。メンバーの中ではふうのみが呼び捨てで呼んでくれるため特に気に入っておりよくちょっかいを懸けている。勿論フーちゃん呼び。ふうの苦労人気質を加速させている最大の要因。

 

 ふう「いや、お前も相当だからな?」

 

総じてムードメーカーが基本的な彼女のポストではあるが、重要な事柄を決める為のガイド総員での会議の際は彼女の(良い意味で)深く考えない提案が時として事態を大きく好転させることもあり、皆も彼女に一目置いている。