ふう

最初に契約したガイド。なのだが、契約当初姿や詳細を掴むことができなかった。かろうじて分かったことは


ふうは渾名、真名は別にある。


姿が見えなくとも、なお分かるほどに気だるげな顔をしている。

 

ハイヤーセルフではない。それどころか全時間軸で見ても現世が初対面と言われる。

 

永きを生きる強大な存在だが不必要にそれを示すことを嫌う。その上放任主義者であり自ら此方に干渉してこようとしなかった。

 

それでも陰ながら私を助けてくれてはいたのだがどこか距離を置かれている感じがあった。どうやらリュンの事に感づいていたらしく遠慮があった様子。訊ねてみた時は何時も「その時が来たら」とはぐらかしていたが、リュンと出会い漸く姿を明かしてくれた。その正体は…

フーウェント

魔法を学ぶよりもずっと前からミツカミの影に潜んでいた存在、自問自答の応えや時折ふと自分の物とは思えぬような考えや発言が出ることがあったのだが、その正体は彼であった。影を触媒として私の体と声を間借りして彼の知恵を伝えてくれていた。

 

彼にとって影とは何よりもそのものの本質を表すものであり、様々な世界を渡り歩いては某神話の大いなる種族のように相手の影と同化し、その者の力や英知を学んできた。ちなみに私の影に入り込んでいた理由は「なんとなく目についたから」らしい。

 

初めてのガイド召喚の時、ミツカミがリュンを呼び出すレベルに至っていなかったため一番身近な高次存在であった彼が代わりを務めてくれていた。リュンと契約した後も私のガイドを続けてくれているが、タイムラインの稽古中に彼とリュンのラインが繋がってしまいリュンのガイドと化した。私のガイドとしてはふう。リュン相手はフーウェント…としたかったようだが、リュンがふうという響きを気に入ってしまいもっぱらフーちゃんと呼ばれる始末。勿論本人にとっては甚だ不本意であるそうで。

 

服装にリュンとの共通点が見られるのもリュンの影から姿を構築したため、今まで入り込んだ影の形を再現し組み合わせることでどんな姿にもなれるんだとか。因みに本来の、最初にあった姿なんてとうに忘れたとのとこ。

 

リュンが言うには彼の方が存在としては上位なのだそうだが、彼曰く「アイツには勝てる気がしない」とか。

 

現在彼の扱う影の技法を教えて貰ってはいるが、残念ながら習得は芳しくない。「悪いが、教えるのは得意じゃねぇんだよ…」

 

最近は周りにマイペースな輩が増えたために苦労人属性がついてしまったご様子。私との契約といい、それ以前からの助力といい、どうやら放任主義を自称している割には他人の事を放っておけない性格のようだ。

 

私の影という半物理存在を依代としているため、全メンバーの中で最もコンタクトを取りやすい。今でも私の声を使い会話を行うことも多いのだが、盛り上がりすぎた時など、たまに双方どちらの発言なのか分からなくなる時がある。

 

「だから、フーちゃん言うなって…」