ふう「おい、用意は良いか?始めるぞ。」
ナタリさん「はーい。って、あれ?ミツ君は?」
ふ「今回の主題となる術の行使で精根尽きてくたばってる。本当なら俺とあいつでやるべき内容だが、気力が持たないだろうから俺たち二人でやってくれだとさ。」
ナ「えー?あたしらだけの方がメモリ使うんじゃないの?」
ふ「それがそうでもないらしい。あいつあれでも自身の言語化が苦手でな、付き合い長い俺は勿論お前の方が言語化がたやすいんだと。」
ナ「なーんか遠回しにあたしが考えなしに云われてる気がするんですけどー?」
ふ「んなことは良いからさっさと進めるぞ。あいつへの負担もそうだが、今回は押しなべて誰得な内容なんだからとっとと終わらせちまおう。」
ナ「そんなことって言った…」
ふうの力―影絵遊び
ふ「さっき、あいつは術の行使で力尽きたと言ったが、正確にやったのは俺だ。あいつは術をその身で受けた負荷で今突っ伏してる。」
ナ「次の日頭痛がするって言ってたからねー。無茶するんだから、もう。」
ふ「なぜそうなったかの経緯の前に、少し俺の力の説明をせにゃならない。」
ナ「フーちゃんのって言うと、影を使う力の事?」
ふ「そうだ。だが全部は話さん。今回使ったものだけだ。他のはまあ、需要と俺の気分次第だな。あいつにもまだ見せてねえものもあるしな。それから、フーちゃん言うな。」
ナ「ケチ。色んな意味でケチ。」
ふ「…ッ…ッ……フゥ。で!だ。俺のページでも少し触れていたが、影ってものは本来、この世界で知覚できる以上にそいつの本質を表すものでな。これについては直接影分身を体感してもらった空人氏がとても巧い表現をしてくれた。『人よりもむき出しで解りやすい』ってな。そうなんだ、影はむき出しのそいつの情報がそのまま詰まっている。だから今まで俺は影から相手の事を学んできたんだ。」
ナ「う~ん。いまいちピンと来ないなー。」
ふ「例えばこの世界の伝承にもあるだろう。人当たりの良さそうな奴が、不意に映った影を見たら正体である化け物の形をしていたとか。本質的にはそのものの表面上の形と影の形は必ずしも一致する訳じゃないんだ。」
ナ「ふむふむ?」
ふ「そしてこいつを逆手に取れば、つまり影の形を書き換えちまえば本質的には存在そのものを作り変えることができるんだ。この世界で言うならば、タイトル通り影絵遊びが近い概念だな。」
な「え?え?ちょっと飛躍しすぎて良く分かんないんだけど。」
ふ「ハァ。しゃーない、それじゃあこの画像を見てみろ。」
ナ「おおー、すごい。これ全部手でやってるの?」
ふ「そう、この影を作っているのは人の手だ。だが、誰もがこれを動物の影として見ることになる。これだけでもなんとなく解ると思うが、次はもっと凄いぞ。極め付けだ。」
http://buzzap.net/images/2012/11/07/shadow-sculptures/top.jpg
ナ「うえ!?なにこれ?」
ふ「こいつは一見すればただの積み上げられたゴミの山だが、光を当てればこうして人の影を映し出す。一度影を見ちまえばもうこれは嫌でもただのゴミではなく、人の形を映すものとしか見れなくなる。凄い事だと思わないか?積み上げられたゴミ、この事実には一切変わりがないのに、影を見た、たったそれだけで“廃棄物”から“作品”に変わっちまうんだ。」
ナ「ほえー。じゃあさ、例えばあたしの影が誰かの形になったらあたしも別人になれちゃう訳?」
ふ「程度はあるがな。見てくれだけか、記憶や能力まで形に合わせるのか。だが調子に乗って深入りしすぎると影に飲まれるぞ。最悪、人格や、果てには存在そのものが根底から変わっちまう。場合によっては強制的に影を上書きさせて相手の“元の”存在を消し去っちまう事も出来るんだが…こいつは正直やりたくねえな。」
ナ「怖っ!!」
ふ「ああ、無茶苦茶怖いぞ。だがそこまでは行かないとはいえ、そんなおっかねぇ事をやって欲しいと自ら言ってきたんだあのバカは。」
ナ「…良く、頭痛い程度で済んだね。」
ふ「まったくだ。まあ俺も細心の注意を払ったし、あいつの適応力もあって何とかなったが、それでも本来は危険極まりないんだ。最も警告したところで真似する奴なんていないだろうがな。じゃ、そろそろ何をしでかしたのかの話にいくか。」
ミツカミの試み―
ふ「読者様方にはもう聞き飽きた事だろうが、今回も起こりはあいつがリュンをいまだ知覚出来ないゆえの事だ。正直、俺もいい加減いつまでやるんだよって感じだが、今回でかなり近い所まで行けたかも…とはあいつの弁だがどうだかな。」
ナ「実際はそんなでも無いって事?」
ふ「結果に対する割が合わなすぎるんだ。流石にそんなことはしないだろうしさせないが、何とかなったといえ乱用しようものなら今度こそ廃人まっしぐらだ。」
ナ「でも何回かやればこなれそうな感じにも見えたけど?」
ふ「それはそれでまた問題ありだ。兎角、動機としてはまあ、無理矢理にでも自分のレベルを上げれば少しは繋がりやすくなるんじゃないか?と、そんな感じだ。で、思いついた方法だが、ここまで読んでいただければ大体察しは付くだろうが、おさらいも兼ねて
以上の事柄から導き出された答えが…」
ナ「自分の影をリューちゃんの形にすれば同じレベルになれるって訳ね。」
ふ「概ね正解だ。しかしさっきも言ったが、相手と全く同じにしちまうと自分が消えてしまいかねない。ましてや相手は自身の限界そのものだ、なおさら耐え切れるものじゃないだろう。だから極力あいつ自身のベースを残したまま、リュンのエッセンスを俺が限界まであいつの影に練り込んでいって、まあ、それで出来上がったイメージが…はい、これが今回の誰得ポイントになる訳だが、OK?
OK,じゃあ進んでくれ。後悔すんなよ。」
ナ「流石にそこまで言わなくたって…。」
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※イラストはイメージです。実物のミツカミとは大きく異なります。
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ふ「さあ皆様、ご唱和下さい。」
ナ「せーの、」
「「だれだお前は!」」
ふ「コホン、いや冗談抜きに誰の原型も留めてないなこれ。せいぜい配色とエンブレムくらいか。」
ナ「それって成功したって言えるの?」
ふ「とある筋からの情報では俺とリュンのイメージは確かに感じられたらしい。とりあえずは巧くいったと見ていいんじゃねーの?」
ナ「わーお、投げっぱなし。それで、結局この姿で何が出来るの?」
ふ「基本性能は大きく上がるな、素の状態の大体三割り増しくらいか?あとは俺たち三人の技法も一人で扱えるはず、かもな。」
ナ「おおー、最後は不安だけどなんか凄そう。」
ふ「ちなみにエネルギー消費量はあいつの体感でおよそ八倍を超える。」
ナ「燃費わるぅ!!」
ふ「だから割に合わないって言ったんだ。単純にこの物理世界の体一つに三人分の魂、しかもただの憑依じゃなく己の存在レベルも無茶なやり方で引き上げてるんだ、維持するだけで精一杯で術にまわす力なんて殆ど残りやしない。はっきり言ってあいつと俺でばらばらに動いた方が遥かに効率的だ。」
ナ「うーん、この前好きにやって良いって言ったは言ったけどさぁ。これはちょっと…」
ふ「まあ今回は俺の力を借りたんだから大目に見てやってくれ。もしこれを自力でやるとか言い出してたら流石に俺だって何としてでも止めたさ。」
ナ「ふぅ~ん。」
ふ「…なんだよ?」
ナ「いんや~。前々からなんだかんだ言って結局甘いとこあるなって思ってたけど、最近になってますます円くなったなーって。」
ふ「ハァ、またこんなオチかよ…」
二人ともお疲れ様。
ナ「あー、やっと出てきた。」
ふ「よくもまあ今更いけしゃあしゃあと出てこれたもんだ。」
ナ「ていうか、いつから居たのさ?」
二個目のサブタイの頃にはある程度復活してました。
ナ「だったら途中からでも参加してくれればよかったじゃーん。」
いやー、だって二人に任せてた方がやっぱり楽だったもんで。この頃は何かと立て込んでたし。
ナ「…この前お花見と称して自転車でプチ旅行してたくせに?」
あ、あれは私なりのヒーリング方なのです。ああやって人気のない所を何も考えずにひた走るとそりゃもう捗るのですよ。
ふ「どっちにしたって筆が遅い事に違いは無いがな。」
グサッ
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ナ「そういえばさ、次の記事どうすんの?」
次ですか、少し思う処がありましてね。改めてみんなの紹介を一人ずつじっくりやっていこうかなと。
ナ「ほうほう。それで、最初は誰にするの?リューちゃんは今は居ないし、やっぱりフーちゃん?」
いえ、最初はナタリさんにしようかと。
ナ「え、あたし?」
はい。この前アリエルさんからいまいち掴めていないとのお言葉を頂いたので良い機会かなと。
ナ「う~ん、あたしほど分かりやすいのもそうそう居ないと思うんだけどなぁ。」
私もそう思っていたのですが、言われて改めて向き合ってみると、貴女結構わけのわからない人に見えてきてしまったので、私としても今一度よく掴みなおしてみようかと思いまして。
ナ「そうなの!?」
という訳で次回から各メンバーの紹介シリーズを始めます。他のメンバーはいつかの予定はまだ立てていませんが、とりあえず最初はナタリさんです。
ナ「う~、なーんか腑に落ちないなぁ…」
―了―
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